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茜浜XPT
所在地:千葉県
主要用途:事務所・店舗
構造:鉄骨造
規模:地上2階
延床面積:約●●●●㎡
撮影:●●●●
築40年ほどの店舗・事務所ビルの再生である。オーナーの工場だった新築時は、全階を貫くヴォイドが1階の工場と2階の事務所を繋げ、棟屋からの光を1階まで届ける立体的な空間構成をしていた。工場の移転後、コンビニを誘致するため、1階の区画が変更され吹き抜けが天井で塞がれた。空間の連続性や建物の遵法性、機能的な動線が失われ、コンビニ区画以外はほとんど利用できない状態が続いていた。局所的・場当たり的な処方により失われた建物の活力を、収益源のコンビニを稼働させながら取り戻すことが求められた。
私たちは、失われた吹き抜けよりも、被覆やブレースの無い純粋な構造に可能性を見出した。隠蔽されていた鉄骨の架構を表に引っ張り出し、垂直にヴォイドで繋がる空間から、フレーム間を視線が伸びる水平な空間に再構成した。2階はそのまま水まわりで緩く二分して「抜け」のあるフレキシブルなワークプレイスとした。1階は単独のテナント区画にできる面積や動線では無いので、外壁に孔を開けて駐車場に転用した。結果、オフィスに専用のインナーガレージを付加しつつ、隣地を取得するほど不足しているコンビニ駐車場を維持することができた。このように空間とプランを再構成するとともに、棟屋から注ぐ光を防火区画のために新設した壁で受け止め、窓まわりは風景を切り取るようにおさまりを調整し、エントランスは円弧状の既存形体を強調してライティングするなど、随所で改修ならではの建築的行為により光を操作した。
縮小時代における地方のロードサイドでは、過去の場当たり的な改修や増え続けるパーキング需要に悩むストックが山積みである。という可能性に満ちている。
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既存の2階。見通しが悪く陰気な雰囲気の空間だった

未利用だった1階部分。コンビニを誘致した際に取り残された、2階への階段と裏口しかない小さな区画だったため、外壁を解体して事務所専用のガレージとした。
不利な条件をポジティブに読み替えることで、コンビニ利用者で常に満車の駐車場を減らさずに、事務所直結のインナーガレージを整備した。