top of page

茜浜XPT

所在地:千葉県

主要用途:事務所・店舗

構造:鉄骨造

規模:地上2階

​延床面積:約661㎡

調査・企画:渡邉明弘建築設計事務所
設計・監理:渡邉明弘建築設計事務所、赤崎雄太
施工:日幸建設

​撮影:堀越圭晋 / エスエス

築40年ほどの店舗・事務所ビルの再生である。オーナーの工場だった新築時は、全階を貫くヴォイドが1階の工場と2階の事務所を繋ぎ、棟屋からの光を1階まで届ける立体的な空間構成をしていた。工場の移転後、コンビニを誘致するために1階の区画が変更され、吹き抜けは1階の天井で塞がれた。空間の連続性や建物の遵法性、機能的な動線が失われたことで、コンビニ区画以外はほとんど利用できない状態が続いていた。


局所的・場当たり的な処方により失われた建物の活力を取り戻したいが、収益源のコンビニは稼働させ続けることが前提だから、失われた連続空間は取り戻せない。
このような状況に対して、私たちは被覆やブレースの無い純粋な架構を露わにすることで、ヴォイドで立体的に繋がる空間から、フレーム間を視線が抜ける水平で広がりのある空間に再構成した。2階は水まわりで緩やかに二分してフレキシブルなワークプレイスとした。
勝手口と2階への階段を備える小部屋だった1階は、無理に居室として利用せず駐車場に転用した。外壁に開口することで、コンビニの駐車場(日常的に物流車両が利用しているため、過去に隣地を取得して駐車場を拡張した)を減らすことなく、オフィスのインナーガレージを確保できた。
加えて、防火区画のために新設した壁で棟屋からの光を受け止め、窓まわりは風景を切り取るようにおさまりを調整し、エントランスは円弧状の既存形体を強調してライティングするなど、改修ならではの行為により光を感じられる状態を生み出し、季節や時間を感じられる場所にした。


これからの大量更新時代、与件の経年変化に対する局所的・短期的な処方でがんじがらめになったストックがますます増えてくる。そうした建物に対峙した時、更地にゼロから建てるのとは全く異なる、既存のポテンシャルを発見する視点が必要になる。

既存の2階。見通しが悪く陰気な雰囲気の空間だった。

未利用だった1階部分。コンビニを誘致した際に取り残された、2階への階段と裏口しかない小さな区画だったため、外壁を解体して事務所専用のガレージとした。

不利な条件をポジティブに読み替えることで、コンビニ利用者で常に満車の駐車場を減らさずに、事務所直結のインナーガレージを整備した。

bottom of page