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宇治の住宅

所在地:京都府

主要用途:住宅

構造:木造

規模:地上2階

​延床面積:約110㎡

​撮影:堀田貞男

30代夫婦のためにつくった住宅である。

 

敷地は京都駅から30分ほどの宇治市内に位置する住宅分譲地である。幹線道路を1本裏側に入った一画に位置しており、幹線道路が走る東側はやや喧噪的で、西側には長年住宅地として育まれた穏やかな環境が広がるという対照的な状況が相対する場所である。

建替え前の住宅はこの文脈にうまく馴染めずあらゆる窓が閉ざされていたため、この状況を改善するように新たな住宅を計画した。

 

建物の形状は敷地にあわせて4間×5間の箱形とした。耐力壁で外周を囲ったボックスを中央の耐力壁で分割し、南側の2層吹き抜けからなるヴォイドと北側で積層させた諸室が対面する構成とした。季節や時間に応じた光の取り込み方、隣家や前面道路との視線や東側の幹線道路からの音の遮断などを考慮して位置や大きさを決めながら開口を空けた。

 

全ての決定には解体前の既存住宅に対するリサーチが活かされており、建替えとは言え「既存の調査を設計にフィードバックする」という過程を経たこの住宅は、ある意味では再生建築と同じような作業により設計された。

思えばこれだけ国土が開発し尽くされた今の日本では、白紙の大地に線を引く行為よりは、先人が引いた無数の補助線を読み取りそこに新たに手を加えて行く事の方が、はるかに一般的になって行くのではないだろうか。

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