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REDO JIMBOCHO/神田神保町武田ビル再生

所在地:東京都千代田区

主要用途:シェア型レストラン、コワーキングスペース、シェアハウス

構造:RC造

規模:地上5階

​延床面積:287.68㎡

企画・設計監理:渡邉明弘建築設計事務所

設計協力:オクムラデザイン

不動産コンサルティング:創造系不動産

撮影:新建築社写真部(既存、工事中以外)

掲載:新建築2023年8月号architecturephoto

受賞:日本空間デザイン賞2024 サステナブル空間賞・Longlist ​、グッドデザイン賞2024ベスト100​、JIA優秀建築選2024​

既存のポテンシャルをしなやかに顕在化する

神田神保町にある築49年の建物を、耐震補強を専門とするキーマンが取得し、自ら耐震診断、補強の設計・施工を行うことで再生する新規事業のモデルケースをつくる計画。既存建物は狭小な偏心コアという、小規模な雑居ビルの典型的な形式を備えていた。今後も数十年の使用に耐え得るためとは言え、耐震補強として柱間に壁やブレースを設置したり開口を閉塞すれば機能性が損なわれ、劣化した設備を全て更新すればペンシル型ビル故に割高になる。また、エレベーターの新設やエントランスの拡張、低層階への吹き抜け設置などのリニューアルは、収支を悪化させ現実的でない。このように、再生とは相性の悪い既存躯体の形式(神保町はもちろん、全国にこのようなストックが存在する)に対して、私たちはその形式を維持するように、道路側の柱だけを増し打ち補強した。階毎に異なる環境を仕上げで強調させながら、躯体のポテンシャルを最大化するようにインフィルを計画していったところ、ワンオペ営業も可能なコの字型カウンターや放射型に間仕切られたシェアハウスの個室群など、この建物を再生したからこその、新築や修繕では得難い空間が出来上がった。街で親しまれてきた外形はエントランスのみ手を加え、外壁は既存の仕上げを撤去した上で躯体のクラックを補修するに留める「剥がし放し」とした。目の前を通る人びとには、これまで通りの外観のようで、どこか一新されたような、両儀的なものと映るだろう。こうして再生したREDO JIMBOCHOは、南側に再開発で出来た大規模なオフィスビルやマンションが聳え、北側の商店街には修繕を繰り返した古い建物が軒を連ねている。建て替えと修繕の狭間で揺れる神田神保町の古い建物を象徴するような角地から、再生という第3の選択肢が馴染み浸透していけばと思う。

​改修前既存

​新築時は1階がカフェ、2〜3階が貸事務所、4〜5階がオーナー住居であった。

耐震補強​

柱間への壁やブレースの設置を避けるため、柱の増し打ちだけで耐力を確保した。

スラブにスリーブを設け、柱四隅の主筋を基礎から5階床スラブまで貫いた。

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